モデル替えキャラ
モデル替えキャラ[1]とは、あるファイターのモデルを基に制作されたファイターを指した用語。俗称はコンパチ。海外での通称はClone。
『SP』では公式により、ダッシュファイター(英名: Echo Fighter[2])というモデル替えキャラに相当する概念が登場した。ダッシュファイターの定義はモデル替えキャラとは少し異なる(詳しくは#SPにて)。参戦ナンバーは、基になったファイターの番号の後ろに「′」記号[3][4]が付けられ、通常とは扱いが異なる意味のカウントがなされる。
モデル替えキャラは、基本的には既存のファイターの骨格や動きを流用し、ワザのダメージ量やふっとばし力などのデータや、体格を調整することによって、低労力で制作できてかつ、基になったキャラとは違う特徴を作り出せるといった利点がある。ちなみに、キャラクターの個性が強く出るアピールや待機モーション、勝利演出はほぼ専用の物が用意されている。
なお、これらのファイターは一体でも多くのファイターを出すことを目的として制作された、サービスとしての意味合いで実現できるものであり、全てカットしたとしても新規のファイターは1体も増やせないとされている。詳細はファイター#キャラクターの選定にて。
モデル替えキャラの定義
モデル替えキャラは前途の通り、他のファイターのモデルを共有・流用して制作されたものを指す言葉だが、トゥーンリンクなどのように、モデル替えではないが、元のファイターでのノウハウを再利用して制作された、モデル替えキャラと同じ制作理念で作られたと思われるファイターもいる。以下の#モデル替えキャラの一覧ではそれらのファイターについても触れる。ただし、『3DS/Wii U』以降の色変えによってキャラクター自体が変わるものについては、性能やモーションそのものに一切変化はないため、ここでは例外とする。
モデル替えキャラとして初登場したファイターが次回作でも登場する場合、専用のモデルで新しく制作される(ドクターマリオ、ルキナ、ブラックピットを除く)。ただし、ワザのモーションに関しては完全に変わる訳ではなく、その当時の名残を残したワザも多い。
モデル替えキャラの一覧
- 『DX』のガノンドロフ以外は、いずれも同じシリーズのキャラ、または原作における関連性が深いキャラという繋がりがある。
64
4体の隠しキャラクターはいずれも基本キャラクターの骨格が流用されており、ルイージ[5]とネス[6]はマリオ、キャプテン・ファルコン[7]はサムス、プリン[8]はカービィを基にしている[9]。しかし、ルイージ以外の3体は骨格こそ共有しているものの、流用されたワザは多くなく、大半は独自の物である。そのためコンパチと明確に呼べる仕様のファイターはルイージのみである。
モデル替えキャラ | 基になったキャラ | 主な違い |
---|---|---|
ルイージ | マリオ | ダッシュ攻撃と下強攻撃以外のワザはすべて同じモーション。必殺ワザに違った特性を持つ。 |
DX
モデル替えキャラ | 基になったキャラ | 主な違い |
---|---|---|
ドクターマリオ | マリオ | 一部のワザの性質が異なり、火力はあるが追撃しにくい。復帰力もやや心許ない。 |
こどもリンク | リンク | 体が小さいため軽くて吹っ飛びやすく、火力もない。また剣先が非常に弱く、体の小ささも相まって接近戦は不得手。そのぶん運動能力が高く、蹴りワザや飛び道具に優れている。 |
ファルコ | フォックス | ジャンプの高さに優れ、落下速度が早い。そのため横の動きに優れるフォックスに対し、縦の動きに優れる性能。また体格がやや大きめで、リーチにも優れる。 |
ピチュー | ピカチュウ | 電気系の攻撃で自傷ダメージを負ううえ、決定力もなく体重も最も軽いと公式で最弱とされるファイター。ただし体躯の小ささや機動力の高さに加え、着地隙が飛び抜けて小さいという強みがある。 |
ガノンドロフ | キャプテン・ファルコン | 非常に重く、殆ど全てのワザが決定打になるパワーファイターと化している。そのぶん、機動力は全キャラ中最低クラスでシビアな立ち回りを要求される繊細かつ豪快なモデル替えキャラ。 |
ロイ | マルス | マルスと違い、剣先より根本に優れる。また空中ワザが弱い・体が軽いなど、基本性能が元ファイターよりかなり低めになっているが、横スマッシュ攻撃や必殺ワザが高性能と、爆発力は高め。 |
X
モデル替えキャラは存在しないが、トゥーンリンクはリンクと多くのワザを共有している。また、ウルフとリュカはそれぞれフォックス、ネスと同じような必殺ワザを使うが、通常攻撃ではまったく異なる攻撃アクションを取る。
リュカについては、最初はネスのモーションを移殖してからオリジナルのアクションの制作が進められていたことが語られている[10]。
3DS/Wii U
開発者によると、3体とも元々はカラーバリエーションとして制作が進められたもので、途中でバランス的な個性がついたために独自のファイターとして制作されたことが語られている[11]。
モデル替えキャラ | 基になったキャラ | 主な違い |
---|---|---|
ドクターマリオ | マリオ | 『DX』のコンセプトを突き詰め、ワザの持続に優れる鈍足高火力のファイターになった。マリオの一部のワザは『X』で変更されたが、こちらは当時と同じワザを使う。 |
ルキナ | マルス | 剣の判定がマルスと異なり、どこで当てても威力が変わらない。また、マルスより体格がやや小さく、剣も短い。通常・下必殺ワザは独自のモーションが用意されている。 |
ブラックピット | ピット | 攻撃ワザは一部を除きほぼ同性能。全体的に弱体化が目立つが、横必殺ワザだけは大幅に強化されている。また、最後の切りふだが別のワザに差し替えられている。 |
ワザ以外の基礎的なモーションは殆ど元ファイターと同じだが、ドクターマリオは待機モーションが差し替えられているほか、アピールのキャンセルタイミングなども変更されている。
また、ルキナも体格の変更に伴って歩きや走行モーションの早さに手が加えられている。
SP
本作では「ダッシュファイター」という概念が登場し、過去作以上に区別されるようになった。
任天堂公式サイトによると、ダッシュファイターは攻撃力やふっとばし力、歩行・走行速度、ジャンプ力、重さなどの基礎パラメーターが、オリジナルファイターに対してほぼ同じとされている。
また、開発者によると基本的な体術が他ファイターを基にしているとのことなので、基本的な性能に大きな差異は見られない。とはいえモーションが完全に同じというわけではなく、一部のワザのモーションや性能が異なったり、基礎モーションが異なる等の違いもある。
また、アピールや勝利演出に関しては、全て専用のものが与えられる。
今までのモデル替えキャラとは異なり元のファイターと使用感に大きな差が出ないようすることが念頭に置かれており、前作にあった違いも本作ではなくなっていたりする。
ファイターセレクト画面では、元のファイターの隣にマスが配置されており、元のファイターと同じマスにまとめて表示できるオプションの機能も付いている。
ダッシュファイター | 基になったキャラ | 主な違い |
---|---|---|
ルキナ | マルス | 通常・下必殺ワザが独自モーション。剣の判定がマルスと異なり、どこで当てても威力が変わらない。剣の長さに体格差、またはそれに付随する性能差はほぼなくなった。 |
ブラックピット | ピット | 通常・横必殺ワザの性能差がより大きくなり、攻撃的な性能に。また、最後の切りふだの性能は全く異なる。前作における一部通常ワザの弱体化はなくなった。 |
デイジー | ピーチ | 一部基礎モーションとエフェクトの多くが変更。低めの身長と基礎モーション変更の影響で、喰らい判定が横に伸びた分縦に縮んだ。ワザの性能に一切違いがない唯一のダッシュファイター。 |
リヒター | シモン | 体格が少し小さく、一部基礎モーションも異なる。また、下必殺ワザが波導属性に変更されている。なお、体格が小さい割に何故かくらい判定が横方向に伸びている。 |
クロム | ロイ | 一部基礎・ワザモーションが変更され、火炎属性も削除。剣の判定がロイと異なり、どこで当てても威力が変わらないほか、一部ワザはリーチも異なる。また、上必殺ワザと最後の切りふだは独自モーション。 |
ダークサムス | サムス | 若干体格が大きい。多くの基礎モーションが一新され、一部ワザも電撃属性になっている。数値上の変更は少ないが、運動性能の差は意外と大きくワザのリーチも一部変更されている。 |
ケン | リュウ | 大雑把にまとめると、素早いぶん吹っ飛ばし力のないリュウ。性能差は非常に大きく、本来は「ダッシュファイター」の定義に当てはまらない「サービス多めのダッシュファイター」。 |
この中で、待機や走行などの基礎的なモーションが元ファイターと全く同じなのはブラックピットとルキナのみ(ルキナは本作で同じになった)。
旧作でモデル替えキャラだったこどもリンクとピチューは体格や運動性能のほか、ワザの性能やモーションに至るまで全く異なる。特にピチューは共通のモーションが何一つとして存在しないという徹底ぶりで、「ダッシュファイター」の定義から完全に外れている。また、基になったファイターの方がシリーズを重ねるごとが変化しているため相対的に差別化点も増えている。
ドクターマリオは前作までと同様にモデル替えキャラではあるが、ワザの性質や基礎の運動性能に大幅な差異があるため「ダッシュファイター」の定義には当てはまらない。また、本作では下空中攻撃や横必殺ワザにも新たなモーションが与えられており、よりマリオとの差別化が進んだと言える。
新規参戦ファイターの一人であるしずえも同様で、使うワザこそむらびとと同じものが多いものの、モーションや性能は殆ど異なるため個別のファイターとして参戦している。
備考
- モデル替えキャラはいずれも、隠しキャラクターとしてのみ登場している。
- 謎のザコ敵軍団と謎のMii軍団、『DX』のマスターハンドとクレイジーハンド、『DX』と『X』のギガクッパもモデル替えキャラの一種と見なすことができる。
- Miiファイターが使うワザの多くは、他のファイターに似た攻撃を多く使う。ただしモーションや性質は異なっている。
- モデル替えキャラ及びそれに近しいものではないものの、クラウド[12]、ベヨネッタ[13]、カムイ[12]、パックンフラワー[14]、勇者[15]のように直接の関連性がない他のファイターをベースに制作されたと思しきファイターが存在する。
- モデル替えキャラクター以外のファイターの間でも、待機やおきあがり攻撃などといった基本モーションは、一部が共有化されている場合がある。
- 『DX』のファイターセレクト画面では、各ファイターに対応したモデル替えキャラがその隣に配置されている。
- 『3DS/Wii U』のファイターセレクト画面では、モデル替えキャラはゲームシリーズ順ではなく、任天堂のゲームシリーズとサードパーティ制作のゲームシリーズの間に配置されている。
- 『64』では、とある格闘ゲームでコンパチが利用されていたのを開発者が「いい手」と発言したことがある[16]。
- 『DX』では、ワリオをマリオのモデル替えキャラとして制作することはできたとの開発者の発言がある[17]。
脚注
- ↑ 用語の初出は『DX』の速報スマブラ拳!!:速報スマブラ拳!!:ピチュー
- ↑ 「Echo」とは反響や模倣という意味の英単語。
- ↑ 「′」記号は、一般的にはプライム記号と呼ばれており、数学的には例としてとある要素"A"に類似するものをA′のように表記して表現する。
- ↑ 海外では「Echo」の頭文字を取った「ε」(イプシロン)が用いられている。
- ↑ 運動性能や各種演出に加え、立ち状態、ダッシュ攻撃、下強攻撃、各種必殺ワザが異なる。
- ↑ 骨格のほか、弱攻撃と下強攻撃はマリオ及びルイージをベースとしている。
- ↑ 骨格のほか、ダッシュ攻撃、上強攻撃、下スマッシュ攻撃を流用している。
- ↑ 通常ワザの多くが流用されている。
- ↑ ファイアーエムブレム25周年記念インタビュー
- ↑ 『週刊ファミ通 2008年2月29日増刊号』 直撃!!桜井政博さんインタビュー 新規参戦キャラクターについて聞く 後編
“リュカはネスの強化版というか。まずはネスのモーションをどんどん移植して、時間があったら専用の動きを作る予定でした。ですがモーションデザイナーの努力もあって、いろいろと違うワザを織り込むことができました。” - ↑ 桜井政博のゲームについて思うこと VOL.463
- ↑ 12.0 12.1 内部データ上はアイクとして枠が確保されていた。
- ↑ 内部データ上はゼロスーツサムスとして枠が確保されていた。
- ↑ 解析により、クッパJr.をベースに制作されたことが判明している:Meshima Twitter
- ↑ 基礎モーションの多くがリンクと共通している。ワザのモーションはリンクなど複数のファイターからの流用が多々見受けられる。
- ↑ アンケート集計拳!!
- ↑ 速報スマブラ拳!! : アンケート集計拳!!
外部リンク
- Clone - SmashWiki, the Super Smash Bros. wiki
- 裏キャラクター - 格ゲー.com 格ゲー用語事典 , コンパチキャラクター - 格ゲー.com 格ゲー用語事典 - 格闘ゲームにおけるコンパチキャラクターの解説。